NBAトレードの基本
労使協定(CBA)、NBAが作成した労使協定の要点まとめ(CBA 101)、NBAの定款・細則で確認できる内容をもとにした、当サイト独自の解説です。
Summary
まず結論
- ・トレードは、球団どうしの合意で、選手の契約やドラフト指名権などを相手の球団に移す取引です。
- ・選手の契約、指名した選手の交渉権、ドラフト指名権、上限の範囲内の現金を扱えます。
- ・トレードできる時期や、年俸の釣り合い(サラリーマッチング)、指名権などに決まりがあり、ウェイブやBuyoutとは別の手続きです。
ご注意:このページは一般的な制度の解説です。個別のトレードには、ここで扱っていない条件や例外があります。制度は将来変更される場合があるため、最新の公式資料を確認してください。
What it is
NBAのトレードとは
- 球団どうしの取引:NBAの細則では、球団が選手の契約、指名した選手の交渉権、ドラフト指名権を、他の球団に移すことができると定められています。
- CBAのルールに従う:トレードは、労使協定(CBA)のトレードに関するルールをすべて満たす必要があります。
- リーグへの申告:トレードする球団は、リーグ事務局との電話会議(Trade Call)で、金銭や指名権を含むすべての条件を申告します。申告していない条件は無効になります。
- 成立のタイミング:申告した条件がすべて満たされ、リーグ事務局から書面で確認の通知を受けた時点で、トレードが成立します。
What can be traded
トレードで扱われるもの
選手の契約
選手と球団の契約を、別の球団に移します。Two-Way契約の選手も、契約から30日を過ぎればトレードの対象になります。
指名した選手の交渉権
ドラフトで指名したものの、まだ契約していない選手と交渉・契約できる権利(Draft Rights)も、トレードの対象になります。
ドラフト指名権
今後のドラフトで選手を指名する権利です。1巡目指名権には、NBAの定款による制限があります。
現金
トレードにあわせて現金を支払ったり受け取ったりできます。1シーズン(サラリーキャップ年度)の上限は、支払い・受け取りそれぞれでサラリーキャップの5.15%です。
※ 現金の上限は、支払った額と受け取った額を相殺せず、それぞれ別に数えます。トレードの直後に年俸総額(Apronの計算方法によるもの)が2nd Apronを超えることになる球団は、トレードで現金を支払えません。
Timing
トレードできる時期
- シーズン中:シーズン開始からトレード・デッドライン(トレード期限)まではトレードできます。期限を過ぎると、レギュラーシーズンが終わるまでトレードはできません。
- レギュラーシーズン終了後:最終戦の翌日から、再びトレードできます。ただし、プレーオフに出ている球団は、敗退するまでプレーオフのロスターの選手をトレードできません。
- モラトリアム期間:オフシーズンの「モラトリアム期間」(CBAで定められた期間)中は、トレードできません。
※ トレード期限の具体的な日時は、NBAの細則の定めにもとづいて毎シーズン決まります。細則は2018年10月版で確認したため、その後の改定は反映されていない可能性があります。最新の日程は、NBAの公式発表を確認してください。
Salary matching
サラリーマッチング(年俸の釣り合い)の概要
- キャップの余裕の範囲で受け入れる:トレード後も年俸総額がサラリーキャップ以下に収まる球団は、キャップの余裕の範囲で選手を受け入れられます。
- キャップを超える場合は例外を使う:トレード後に年俸総額がサラリーキャップを超える球団は、「Traded Player Exception」などの例外を使う必要があり、出した選手の年俸に応じた額までしか受け入れられません。
- Apronを超える球団への制限:1st Apron・2nd Apronを超える球団は、使える例外がさらに限られます。
Trade restrictions
トレード制限の概要
選手の契約の状況によっては、一定の期間トレードできなかったり、選手の同意が必要だったりします。主なものは次のとおりです。
- 契約した直後の選手:ドラフトで指名して契約した選手やTwo-Way契約の選手は契約から30日、フリーエージェントとして契約した選手は原則として3か月後か12月15日の遅いほうまで、トレードできません。
- 選手の同意が必要な場合:1年契約の選手のうち、契約を終えると「Bird」などの権利を持つフリーエージェントになる選手は、本人の同意がなければトレードできません(契約時に、この同意の権利をなくす合意もできます)。
- トレードを禁止・制限する条項:CBAの条件を満たせば、球団と選手は、契約にトレードを禁止・制限する条項を入れることができます。
- 契約最終シーズンの選手:契約の最終シーズン(オプションによって最終シーズンになりうる場合を含む)の選手は、そのシーズンのトレード期限を過ぎるとトレードできません。
詳しい条件は、今後の個別ガイド「トレード制限」で解説する予定です(準備中)。
Draft pick restrictions
指名権に関する制限の概要
- 連続する年の1巡目指名権:NBAの定款では、トレードの結果、将来の連続する2年のドラフトで1巡目指名権をどちらも持たなくなる可能性がある場合、その1巡目指名権はトレードで手放せないという原則が定められています。
- 2nd Apronを超えた球団への制限:CBAでは、2nd Apronを超えた球団の将来の1巡目指名権が、トレードできなくなる場合があると定められています。
※ このページでは概要だけを紹介しています。指名権の基本や取引のルールは、ドラフト指名権のガイドで解説しています。
Trade vs. waive vs. buyout
ウェイブ・Buyoutとの違い
トレードは相手の球団との取引ですが、ウェイブとBuyoutは、球団が選手との契約を手放す・終えるための手続きです。
| 項目 | トレード | ウェイブ(Waive) | Buyout(合意による契約の途中終了) |
|---|---|---|---|
| 何をするか | 球団どうしの合意で、選手の契約などを相手の球団に移す | 球団がウェイバー(他球団への公示)を申請し、契約を手放す | 球団と選手が合意して契約を修正し、そのうえで球団がウェイバーを申請する |
| 必要な合意 | トレードする球団どうし(リーグへの申告も必要) | 球団の判断で申請できる(申請は取り消せない) | 球団と選手(契約の修正にはコミッショナーの承認が必要) |
| 契約の行方 | 契約はそのまま相手の球団に移る | 他球団が獲得を申し出れば、その球団に契約が移る。申し出がなければ契約は終わる | ウェイバーの手続きをとり、申し出がなく契約が終わると、合意した内容が適用される |
| 支払いの扱い | トレードのルール(サラリーキャップや例外など)に従う | 保証された年俸があれば、契約が終わっても支払い義務が残ることがある | 保証された年俸の減額・取り消しや、Set‑offの変更を合意できる |
- 何をするか
- 球団どうしの合意で、選手の契約などを相手の球団に移す
- 必要な合意
- トレードする球団どうし(リーグへの申告も必要)
- 契約の行方
- 契約はそのまま相手の球団に移る
- 支払いの扱い
- トレードのルール(サラリーキャップや例外など)に従う
- 何をするか
- 球団がウェイバー(他球団への公示)を申請し、契約を手放す
- 必要な合意
- 球団の判断で申請できる(申請は取り消せない)
- 契約の行方
- 他球団が獲得を申し出れば、その球団に契約が移る。申し出がなければ契約は終わる
- 支払いの扱い
- 保証された年俸があれば、契約が終わっても支払い義務が残ることがある
- 何をするか
- 球団と選手が合意して契約を修正し、そのうえで球団がウェイバーを申請する
- 必要な合意
- 球団と選手(契約の修正にはコミッショナーの承認が必要)
- 契約の行方
- ウェイバーの手続きをとり、申し出がなく契約が終わると、合意した内容が適用される
- 支払いの扱い
- 保証された年俸の減額・取り消しや、Set‑offの変更を合意できる
- ウェイバーの期間:ウェイバーの期間は48時間です。他の球団が獲得を申し出なければ、契約は終わります。
- Set-off:球団が契約を解除したあとも支払い義務が残る場合、選手が他の球団と契約すると、元の球団の支払い義務がその一部だけ減ります。
- トレード後のウェイブ:トレードで出した選手が移籍先でウェイブされた場合、元の球団は、一定の期間その選手を再び獲得・契約できません。
※ 「Buyout」はCBAで定義された言葉ではありません。このページでは、CBA 第2条 Section 3(p)の「球団と選手の合意で契約を途中で終えるための修正」として説明しています。
関連ガイド:NBAのロスター契約・短期契約とは?(ロスター枠と契約の種類)
Glossary
関連用語
- トレード・デッドライン(トレード期限)
- シーズン中にトレードができる最後の日時。これを過ぎると、レギュラーシーズンが終わるまでトレードはできない。
- Trade Call
- トレードする球団どうしが、取引の条件をリーグ事務局に申告する電話会議。申告していない条件は無効になる。
- Traded Player Exception
- サラリーキャップを超えている球団が、トレードで出した選手の年俸をもとに、選手を受け入れるための例外。
- ウェイバー(Waivers)
- 契約を手放す選手を、他の球団が獲得できるようにする手続き。期間は48時間。
- Set-off
- 球団が契約を解除した選手が他球団と契約した場合に、元の球団の支払い義務の一部が減らされる仕組み。
- ドラフト指名権
- NBAドラフトで選手を指名する権利。トレードの対象になり、1巡目指名権のトレードにはNBAの定款やCBAによる制限がある。
- 指名権の凍結
- 2nd Apronを超えた球団の将来の1巡目指名権が、トレードできなくなる仕組み。
リンクのない用語の詳しいガイドは準備中です。
Official sources
公式一次資料
- 2023 NBA Collective Bargaining Agreement(PDF・英語) ↗
NBA ・ 2023年7月1日発効(2029-30シーズンまで)
第2条 Section 3(g)・3(p):トレードを制限する条項・合意による契約の途中終了/第7条 Section 8:トレードのルール/第27条:Set-off/付属書A 第16条:契約の解除とウェイバー
- CBA 101: Highlights of the Collective Bargaining Agreement(PDF・英語) ↗
NBA ・ 2024年11月作成
II.B(2)(i):Traded Player Exception/II.E:Apronによる制限/II.F:指名権の凍結/II.J:トレードのルール/VI.A:ウェイバーの期間
- National Basketball Association Constitution and By-Laws(PDF・英語) ↗
NBA ・ 2018年10月版
細則4.01:トレードできるもの・時期/細則4.02:トレードの手続き/第7.03条:1巡目指名権。NBA公式サイトで公開されている版で、その後の改定は反映されていない可能性があります
このページは上記の公式資料をもとにした当サイト独自の解説です。協定の条文を転載・翻訳したものではありません。