NBAのBuyout(バイアウト)とは?
労使協定(CBA)と、NBAが作成した労使協定の要点まとめ(CBA 101)で確認できる内容をもとにした、当サイト独自の解説です。
Summary
まず結論
- ・Buyout(バイアウト)は、球団と選手が合意して、契約を期間の途中で終えることの一般的な呼び名です。
- ・CBAで定義された制度名ではなく、CBAでは「契約を途中で終えるための契約の修正」として定められています。
- ・球団と選手の双方の合意が必要で、そのうえでウェイバーの手続きをとります。
ご注意:このページは一般的な制度の解説です。個別の契約には、ここで扱っていない条件や例外があります。ルールはCBAの改定などで変わる可能性があるため、最新の公式資料を確認してください。
What it is
Buyoutとは
- 一般的な呼び名:「Buyout」は、球団と選手の合意で契約を期間の途中で終えることを指して使われる言葉です。
- CBAの制度名ではない:「Buyout」という言葉は、CBAで定義されていません。CBA 第2条 Section 3(p)では、すでにある契約を期間満了前に終えるために、球団と選手が契約に加えられる修正の内容が定められています。
- ウェイブとの関係:この修正は、球団がウェイバーの手続きをとることを前提にしています。つまりBuyoutは、ウェイブの手続きの前に、球団と選手が支払いなどの条件を合意しておくものです。
Mutual agreement
球団と選手の双方の合意が必要
CBAで定められている修正の内容は、次のとおりです。
- 契約の修正:球団と選手が合意して、すでにある契約に修正を加えます。この修正には、コミッショナーの承認が必要です。
- ウェイバーの申請:修正がコミッショナーに承認されると、球団はすぐにウェイバーを申請します。
- 合意した内容の適用:選手がウェイバーの手続きを通過して契約が終わった場合、契約で保証されていた年俸の減額・取り消しや、球団のSet-offの権利の変更・取り消しが適用されます。
※ 球団だけの判断でできるウェイブと違い、Buyoutは選手の合意がなければ成り立ちません。
After the contract ends
契約終了後の選手の扱いと残る支払い
- 選手の扱い:CBAでは、ウェイバーの手続きで契約が終わったベテラン選手は「フリーエージェント」とされています。
- 残る支払い:契約で保証された年俸があれば、契約が終わったあとも球団の支払い義務が残ります。Buyoutでは、その保証額を減らしたり、なくしたりすることを合意できます。
- Set-off:球団の支払い義務が残る選手が他の球団と契約すると、その収入に応じて、元の球団の支払い義務の一部が減らされます。Buyoutでは、このSet-offの権利を変更したり、なくしたりすることも合意できます。
Cap & tax
サラリーキャップ・タックス上の扱い
- 年俸総額に含まれる:ウェイバーの手続きで契約が終わった選手に支払う、または支払う予定の年俸は、元の球団の年俸総額(Team Salary)に含まれます。Buyoutもウェイバーの手続きをとるため、同じ扱いになります。
- Stretch:球団は条件を満たせば、ウェイブした選手の残りの年俸を、サラリーキャップ上で複数のシーズンに分けて計上することを選べます。
- タックス・Apron:ラグジュアリータックスやApronの判定に使う年俸総額も、このTeam Salaryをもとに計算されます(それぞれ一部の調整があります)。
※ 具体的な計算方法やStretchの条件は、このページでは扱っていません。正確な条件は下の公式資料(CBA・CBA 101)を確認してください。
Trade vs. waive vs. buyout
トレード・ウェイブとの違い
トレードは相手の球団との取引、ウェイブは球団の判断で契約を手放す手続き、Buyoutは球団と選手の合意で契約を終える手続きです。
| 項目 | トレード | ウェイブ(Waive) | Buyout(バイアウト) |
|---|---|---|---|
| 何をするか | 球団どうしの合意で、選手の契約などを相手の球団に移す | 球団がウェイバー(他球団への公示)を申請し、契約を手放す | 球団と選手が合意して契約を修正し、そのうえで球団がウェイバーを申請する |
| 必要な合意 | トレードする球団どうし(リーグへの申告も必要) | 球団の判断で申請できる(申請は取り消せない) | 球団と選手の双方(契約の修正にはコミッショナーの承認が必要) |
| 契約の行方 | 契約はそのまま相手の球団に移る | 他球団が獲得を申し出れば、その球団に契約が移る。申し出がなければ契約は終わる | ウェイバーの手続きを通過して契約が終わると、合意した内容が適用される |
| 選手のその後 | 相手の球団の選手になる | 契約が終わったベテラン選手は、フリーエージェントになる | ウェイブと同じく、契約が終わったベテラン選手はフリーエージェントになる |
| 残る支払い | トレードのルール(サラリーマッチングなど)に従う | 保証された年俸があれば、契約が終わっても支払い義務が残る | 保証された年俸の減額・取り消しや、Set‑offの変更・取り消しを合意できる |
| 年俸総額 | サラリーキャップや例外のルールの範囲で受け入れる | 支払う年俸は、元の球団の年俸総額に含まれる | ウェイブと同じく、支払う年俸は元の球団の年俸総額に含まれる |
- 何をするか
- 球団どうしの合意で、選手の契約などを相手の球団に移す
- 必要な合意
- トレードする球団どうし(リーグへの申告も必要)
- 契約の行方
- 契約はそのまま相手の球団に移る
- 選手のその後
- 相手の球団の選手になる
- 残る支払い
- トレードのルール(サラリーマッチングなど)に従う
- 年俸総額
- サラリーキャップや例外のルールの範囲で受け入れる
- 何をするか
- 球団がウェイバー(他球団への公示)を申請し、契約を手放す
- 必要な合意
- 球団の判断で申請できる(申請は取り消せない)
- 契約の行方
- 他球団が獲得を申し出れば、その球団に契約が移る。申し出がなければ契約は終わる
- 選手のその後
- 契約が終わったベテラン選手は、フリーエージェントになる
- 残る支払い
- 保証された年俸があれば、契約が終わっても支払い義務が残る
- 年俸総額
- 支払う年俸は、元の球団の年俸総額に含まれる
- 何をするか
- 球団と選手が合意して契約を修正し、そのうえで球団がウェイバーを申請する
- 必要な合意
- 球団と選手の双方(契約の修正にはコミッショナーの承認が必要)
- 契約の行方
- ウェイバーの手続きを通過して契約が終わると、合意した内容が適用される
- 選手のその後
- ウェイブと同じく、契約が終わったベテラン選手はフリーエージェントになる
- 残る支払い
- 保証された年俸の減額・取り消しや、Set‑offの変更・取り消しを合意できる
- 年俸総額
- ウェイブと同じく、支払う年俸は元の球団の年俸総額に含まれる
※ ウェイバーの手続きの流れやクレームの優先順位は、ウェイブのガイドで解説しています。
Related
関連ガイド
トレードの仕組みや、ロスター枠と契約の種類は、次のガイドで解説しています。
関連ガイド:NBAトレードの基本(トレードで扱われるもの・時期・ウェイブとの違い)
関連ガイド:NBAのサラリーマッチングとは?(トレードで送る年俸と受け取る年俸)
Glossary
関連用語
- Buyout(バイアウト)
- 球団と選手の合意で契約を途中で終えることの一般的な呼び名。CBAで定義された言葉ではなく、CBA 第2条 Section 3(p)の手続きにあたる。
- ウェイバー(Waivers)
- 契約を手放す選手を、他の球団が獲得できるようにする手続き。期間は48時間。
- 保証された年俸(Compensation protection)
- 契約が途中で終わっても支払われることが契約で決められている年俸。
- Set-off
- 契約を解除された選手が他の球団と契約した場合に、元の球団の支払い義務の一部が減らされる仕組み。
- Stretch
- ウェイブした選手の残りの年俸を、サラリーキャップ上で複数のシーズンに分けて計上する選択。条件がある。
- 年俸総額(Team Salary)
- サラリーキャップと比べる、チームの選手の年俸などの合計。ウェイブした選手に支払う年俸も含まれる。
リンクのない用語の詳しいガイドは準備中です。
Official sources
公式一次資料
- 2023 NBA Collective Bargaining Agreement(PDF・英語) ↗
NBA ・ 2023年7月1日発効(2029-30シーズンまで)
第1条:Free Agentの定義/第2条 Section 3(p):合意による契約の途中終了/第7条 Section 4(a)(1)(i):Team Salaryの計算/第27条:Set-off/付属書A 第16条(f):ウェイバーの手続き
- CBA 101: Highlights of the Collective Bargaining Agreement(PDF・英語) ↗
NBA ・ 2024年11月作成
II.D・II.E:タックス・Apronの判定/II.K(1):Team Salary/II.L:Stretch/II.M:Set-off/VI.A:ウェイバーの期間
このページは上記の公式資料をもとにした当サイト独自の解説です。協定の条文を転載・翻訳したものではありません。